海洋汚染防止法とは
海洋汚染の防止を目的としたマルポール条約の締結により、1970年日本で海洋汚染防止法が定められました。正式名称は「海洋汚染等及び海上災害の防止に関する法律」といいます。
目的
この法律は船舶などから、油、有害液体物質、廃棄物を海洋に排出することや海底の下に廃棄することを規制することにより、海洋の汚染、海洋災害を防止すること、海洋環境を保全することを目的としています。
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海洋汚染の防止の義務
船舶、海洋施設、航空機から、油、有害液体物質、廃棄物の排出、海底への廃棄を行わないことにより、海洋汚染の防止に努めないといけません。
船舶からの有害液体物質の排出の禁止
何人も海域において有害液体物質を排出してはいけません。ただし、船舶の安全の確保や、人命を救助するための有害液体物質の排出などやむを得ない場合にはこの限りではありません。
有害液体物質による海洋の汚染の防止のための設備
船舶所有者は有害液体物質を輸送する船舶に、有害液体物質排出防止設備を設置しなければなりません。
有害液体汚染防止管理者の設置
船舶所有者は船舶ごとに乗務員の中から有害液体物質の不適正な排出を防止する業務を行う有害液体汚染防止管理者を選任しなければなりません。さらに有害液体汚染防止規定を定め、船舶内に備え置き、掲示しなければなりません。
有害液体記録簿
有害液体物質を輸送する船舶の船長は有害液体物質記録簿を船舶内に備え付けなければなりません。有害液体物質記録簿を最後に記録した日から3年間船舶内に保存しなければなりません。
大量の油、有害液体物質の排出があった場合の防除措置
特定油以外の油及び有害液体物質の防除のための資材、排出油等の防除のために必要な資材を備え付け、機械器具を配備し、及び排出油等の防除に関し必要な知識を有する要員を確保しておかなければなりません。
有害液体物質について
マルポール条約附属書Ⅱに規定され、有害物質リストはX類、Y類、Z類に分類されています。分類の内容は以下のとおりです。また、海洋環境の保全の見地から有害でない物質も定められています。
タンクの浄化作業またはバラスト水の排出作業により海洋に排出された場合に、
X類物質 | 海洋資源または人の健康に重大な危険をもたらすもの |
Y類物質 | 海洋資源または人の健康に危険をもたらすもの |
Z類物質 | 海洋資源または人の健康に軽微な危険をもたらすもの |
有害液体物質リスト
海洋環境の保全の見地から有害である物質
海洋汚染等及び海上災害の防止に関する法律施行令 別表第一に記載されています。
海洋環境の保全の見地から有害でない物質
海洋汚染等及び海上災害の防止に関する法律施行令 別表第一の二に記載されています。
海洋汚染等及び海上災害の防止に関する法律施行令(e-Gov)
https://elaws.e-gov.go.jp/search/elawsSearch/elaws_search/lsg0500/detail?lawId=346CO0000000201#664