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船舶安全法(危険物船舶運送及び貯蔵規則(危規則))

船舶安全法、危険物船舶運送及び貯蔵規則(危規則)は危険物を船舶にて海上輸送する際に遵守すべき法令です。
「危規則の危険物」と「消防法の危険物」とは定義が全く異なっているので注意が必要です。

 

背景

 危険物の海上運送は、運送される物質の危険性を考慮する必要があり、国際海事機関(IMO)が国際海上危険物規程(IMDGコード)等の国際的な安全基準を定めています。国際海上危険物規程(IMDGコード)を国内法に取り入れたものが船舶安全法の危険物船舶運送及び貯蔵規則(危規則)と船舶による危険物の運送基準等を定める告示(危告示)です。

 

危険物の定義

危険物船舶運送及び貯蔵規則(危規則)では危険物を以下のように定義しています。

 

火薬類
  • 火薬、爆薬、弾薬、火工品その他の爆発性を有する物質
高圧ガス
  • 50℃で0.30MPaを超える蒸気圧を持つ物質または20℃で0.1013MPaにおいて完全に気体となる物質
引火性液体類
  • 引火点が60℃以下の液体(引火点が35℃を超える液体であって燃焼継続性がないと認められるものを除く。)
  • 引火点が60℃を超える液体であって当該液体の引火点以上の温度で運送されるもの(燃焼継続性がないと認められるものを除く。)
  • 加熱され液体の状態で運送される物質であつて当該物質が引火性蒸気を発生する温度以上の温度で運送されるもの(燃焼継続性がないと認められるものを除く。)
可燃性物質類
  • 可燃性物質 火気等により容易に点火され、かつ、燃焼しやすい物質
  • 自然発火性物質 自然発熱又は自然発火しやすい物質
  • 水反応可燃性物質 水と作用して引火性ガスを発生する物質
酸化性物質類
  • 酸化性物質 他の物質を酸化させる性質を有する物質(有機過酸化物を除く。)
  • 有機過酸化物 容易に活性酸素を放出し他の物質を酸化させる性質を有する有機物質
毒物類
  • 毒物 人体に対して毒作用を及ぼす物質
  • 病毒をうつしやすい物質 生きた病原体及び生きた病原体を含有し、または生きた病原体が付着していると認められる物質
放射性物質等
  • 放射性物質 電離作用を有する放射線を自然に放射する物質
  • 放射性物質によって汚染された物 放射性物質が付着していると認められる固体の物質(放射性物質を除く。)で、その表面の放射性物質の放射能面密度が告示で定める密度を超えるものをいう。
腐食性物質
  • 腐食性を有する物質
有害性物質
  • 上記物質以外の物質であって人に危害を与え、又は他の物件を損傷するおそれのあるもの。

 

分類

 Class 1から9まで分類されています。数字の大きさと危険性は相関ありません。
 危規則とIMDGコードを記載しています。

危規則の等級 危規則の分類・項目 Class IMDG Code Class
1.1~1.6 火薬類 1 Explosives(Division 1.1~1.6)
高圧ガス 2 Gases
2.1 引火性高圧ガス 2.1 Flammable gases
2.2 非引火性非毒性高圧ガス 2.2 Non-flammable, non-toxic gases
2.3 毒性高圧ガス 2.3 Toxic gases
3 引火性液体類 3 Flammable liquids
可燃性物質類 4

Flammable solids; substances liable to
spontaneous combustion; substances which,
in contact with water,emit flammable gases

4.1 可燃性物質 4.1

Flammable solids, self-reactive substances and;
desensitized explosives

4.2 自然発火性物質 4.2 Substances liable to spontaneous combustion
4.3 水反応可燃性物質 4.3

Substances which, in contact with water, emit
flammable gases

酸化性物質類 5 Oxidizing substances and organic peroxides
5.1 酸化性物質 5.1 Oxidizing substances
5.2 有機過酸化物 5.2 Organic peroxides
毒物類 6 Toxic and infectious substances
6.1 毒物 6.1 Toxic substances
6.2 病毒をうつしやすい物質 6.2 Infectious substances
7 放射性物質等 7 Radioactive materials
8 腐食性物質 8 Corrosive substances
9 有害性物質 9 Miscellaneous dangerous substances and articles

 

危険物の容器等級

 引火性液体類などの危険物には容器包装の目的から危険性の度合いによって3段階に分類され、容器等級として定められています

容器等級 危険性
危険性 大(高い危険性を有する物質)
危険性 中(中程度の危険性を有する物質)
危険性 小(低い危険性を有する物質)

 

例)引火性液体類

容器等級Ⅰ 初留点が35℃以下の液体の物質
容器等級Ⅱ 引火点が23℃未満であって、初留点が35℃を超える液体の物質
容器等級Ⅲ 引火点が23℃以上60℃以下であって、初留点が35℃を超える液体の物質

容器等級Ⅰ~Ⅲに該当しない物質は引火性液体類に該当しない。

 

 

危険物の識別

 危険物の識別に以下の項目が必要です。

  • 国連番号(UN No.)
  • 正式品名(Proper Shipping Name)
  • 分類・項目・等級(Class or division)
  • 火薬類の隔離区分(Compatibility group)
  • 副次危険性(Subsidiary risk(s))
  • 容器等級(Packing group)
国連番号とは

国連が危険物輸送専門家委員会の国連危険物輸送勧告にて輸送上に危険性や有害性がある化学物質に付与した数字4桁の番号のことです。国連番号など危険物の識別に必要な情報は「船舶による危険物の運送基準等を定める告示(危告示)」の別表第1に掲載されています。

 

国土交通省 船舶による危険物の運送基準等を定める告示(危告示)(外部リンク)
http://www.mlit.go.jp/common/001178722.pdf

 

危規則危険物と消防法危険物の違い

同じ危険物という名称であるが、危規則と消防法では分類などが全く異なるので注意が必要である。

危険物船舶運送及び貯蔵規則(危規則) 消防法
内容 船舶による危険物の運送について定めている。 火災防止の観点で危険物の取り扱いを定めている。
危険物の分類

クラス1 火薬類
クラス2 引火性高圧ガス
クラス3 引火性液体類
クラス4 可燃性物質・自然発火性物質・水反応可燃性物質
クラス5 酸化性物質・有機過酸化物
クラス6 毒物・病毒をうつしやすい物質
クラス7 放射性物質等
クラス8 腐食性物質
クラス9 有害性物質

第1類 酸化性固体
第2類 可燃性固体
第3類 自然発火性物質及び禁水性物質
第4類 引火性液体
第5類 自己反応性物質
第6類 酸化性液体

例)消防法危険物第4類第3石油類の物質は危規則危険物の引火性液体類には非該当です。
(消防法危険物第4類第3石油類は引火点70~200℃、危規則危険物の引火性液体類は引火点60℃以下のもの)

 

参考文献

 国土交通省 危険物の海上運送等に係る安全対策 
 http://www.mlit.go.jp/maritime/maritime_fr8_000012.html

 

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