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REACH規則のSVHC(高懸念物質)について

2023.10.12 update

 

2023.10.12 読者の指摘により、SVHCの法的義務の表現を訂正しました。
      (誤)0.1%以上→(正)0.1重量%を超える量
      (誤)年間1トン以上→(正)年間1トンを超える量

 

SVHCとは、高懸念物質(substances of very high concern)のことで、
REACH規則の附属書ⅩⅣに収載される認可対象物質の候補になる物質です。
認可対象物質の候補リストという意味でCandidate List(候補リスト)と呼ばれることもあります。

 

「認可対象」とはREACH規則の「登録、評価、認可、制限」の「認可」の部分に当たります。

 

SVHCリスト

 

REACH規則の概要

 

SVHCの法的義務

SVHCに該当する物質を0.1重量%を超える量を含有する場合、SVHCリストに掲載された日付から45日以内に製品に関する安全性に関する情報および少なくとも製品に物質名を記載しなければなりません。

 

SVHCに該当する物質を0.1重量%を超える量および1企業につき年間1トンを超える量を含む製品は欧州化学品庁(ECHA)に通知しなければなりません。

 

SVHCの決定手順

ECHAおよびEU加盟国はREACH規則附属書ⅩⅤに基づいた文書を作成することによりSVHC候補を提案することができます。提案されたSVHC候補について、パブリックコンサルテーション(意見募集)によりECHAに意見およびコメントを提出することができます。

 

1)意見およびコメントがない場合はそのままSVHCとして決定され、Candidate List(候補リスト)に収載されます。

 

2)意見およびコメントがある場合はECHAの加盟国専門家委員会にて検証が行われます。
 a)全会一致の場合はCandidate List(候補リスト)に収載されます。
 b)全会一致しない場合は欧州委員会(European Committee)にて検討を行います。
 → 欧州委員会の専門家委員会にて検討し、SVHCに決定した場合は、官報に公示され、
   ECHAにてCandidate List(候補リスト)に収載されます。

 

SVHCの定義

SVHCは以下のa)~f)に分類、定義されています。(REACH規則第57条に掲載)

 

人の健康に影響を及ぼす物質(CMR物質)
 a) 発がん性区分1A、1Bの物質
 b) 変異原性区分1A、1Bの物質
 c) 生殖毒性区分1A、1Bの物質

 

環境に影響を及ぼす物質
 d) PBT物質(難分解性、生物蓄積性、有毒な物質)
 e) vPvB物質(極めて難分解性で生物蓄積性が非常に高い物質)

 

その他
 f) 内分泌かく乱性物質や、PBT物質、vPvB物質の基準を満たさないが、極めて健康や環境に深刻な影響を及ぼすおそれがある物質

 

CMR
 Cancinogenic(発がん性)、Mutagenic(変異原性)、Toxic for Reproduction(生殖毒性)の略です。
PBT
 Persistent(難分解性) Bioaccumulative(生物蓄積性)Toxic(有毒性)の略です。
vPvB
 very Persistent(極めて難分解性)and very Bioaccumulative(生物蓄積性が非常に高い)の略です

 

SVHCの基準 

それぞれの基準は以下の通りです。

 

a) 発がん性区分(CLP規則より)

区分 基準
区分1A ヒトに対して発がん性が知られている
区分1B ヒトに対しておそらく発がん性がある
区分2 ヒトに対して発がん性が疑われる

b) 変異原性区分(CLP規則より)

区分 基準
区分1 ヒト生殖細胞に経世代突然変異を誘発することが知られているかまたは経世代突然変異を誘発すると見なされる単一物質。ヒト生殖細胞に経世代突然変異を誘発することが知られている単一物質。変異原性試験の結果により1Aか1Bに分類される。
区分2 ヒト生殖細胞に経世代突然変異を誘発する可能性があるため、ヒトへの懸念を生む物質

c) 生殖毒性区分(CLP規則より)

区分 基準
区分1 ヒトに対して生殖毒性があると知られている、あるいはあると推測される物質
 区分1A  ヒトに対するデータを基準に区分
   区分1B  動物実験によるデータを基準に区分
区分2 ヒトに対する生殖毒性が疑われる物質

 

d) PBT物質
(REACH規則 附属書ⅩⅢ 環境省仮訳より)
 以下の3つの基準をすべてを満たす物質をPBT物質としています。

難分解性
 以下のいずれかに該当する場合には、物質は難分解性基準(P-)を満たす。
  海水中での半減期が60日より長い
  淡水中又は河口水中での半減期が40日より長い
  海の堆積物中での半減期が180日より長い
  淡水又は河口水堆積中での半減期が120日より長い
  土壌中での半減期が120日より長い。

 

 環境中での難分解性の評価は、その登録者が記述する、適当な条件下で収集した、利用可能な半減期データに基づくものとする。

 

生物蓄積性
 以下の場合には、物質は生物蓄積性基準(B-)を満たす。
  生物濃縮係数(BCF)が2000より高い。

 

 生物蓄積性の評価は、水生の種での生物蓄積性について測定したデータに基づくものとする。海水種と同様に淡水種でのデータも使うことができる。

 

毒性
 以下のいずれかに該当する場合には、物質は毒性基準(T-)を満たす。
  海水又は淡水生物に対する長期無影響濃度(Noec)が0.01mg/l未満である
  その物質が、発がん性(区分1若しくは区分2)、変異原性(区分1若しくは区分2)、又は生殖毒性(区分1、区分2若しくは区分3)と分類される
  指令67/548/EECに従ってT,R48又はXn,R48という分類により特定する慢性毒性の他の証拠がある。

 

e) vPvB物質
(REACH規則 附属書ⅩⅢ 環境省仮訳より)
 以下の基準をすべてを満たす物質をvPvB物質としています。

難分解性
 以下のいずれかに該当する場合には、物質は極めて難分解性という基準(vP-)を満たす。
  海水、淡水又は河口水中での半減期が60日より長い
  海水、淡水又は河口水堆積中での半減期が180日より長い
  土壌中での半減期が180日より長い。

 

生物蓄積性
 以下の場合には、物質は生物蓄積性が高いという基準(vB-)を満たす。
  生物濃縮係数(BCF)が5000より高い。

 

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